屍鬼〈上〉
小野 不由美
屍鬼〈下〉
小野 不由美
あきな姫に薦められたのがこれ。
「女流作家は嫌いだ」とぶーぶー言ってたのだが、あいすいません。
「人から薦められる本は読まない確率が高い」とこっそり思っていたのだが、あいすいません。
閉鎖的な村を舞台に繰り広げられる物語。
ある家が引っ越してきて以来、村人がどんどん謎の死を遂げていく。
伝染病?それとも・・・・。
物語を読んでいくにつれ、登場人物の誰かに感情移入することが少なくない。
というか、ほとんどそうなのか?
いずれにしろ、それが次々と覆っていったのは久々だった。
最初の100ページ弱までは正直ツライ(笑)
登場人物の多さ、村の細かい描写、タルイのだ。
いちいち、村人を「この人はこう」と覚えられない。
それに少し苛立つ。
とはいえ、登場人物の多さに最初は辟易するが、最初のうちは一人ひとりをしっかり認識させない意図もあるのかもしれない。
そう。読んでいけば、最初にちゃんと人物を認識せずとも、人物を認識できるのだ。
うん、わかりづらいね(笑)
まあ、最初ダルくても大丈夫って話だ(笑)
下巻に入ってからは、もう止まらない。
ページを繰る手が止まらない。
そして、怖い。
何が。
人間が。
++これから物語の核心に触れます。++
いわゆる吸血鬼もの、とはひとくくりにできない物悲しさがあった。
最初は、村人を死においやる脅威に「頑張れ村人。頑張れ敏夫。静信のバカ!」となるけども(笑)、それがだんだんと尻の座りが悪くなってくるのだ。
狩る側と狩られる側が逆転する怖さ。
自分の立ってる場所は酷く脆く、不安定だと知らされる。
そのうち、暗澹たる気持ちになり、最後も最後でもやもやとした問題提起に悩まされた。
あとには虚しい気持ちが残る。
結局、あんだけやっといて、やった本人が虚しくなってるもんだから、こっちもどよーんとせざるをえない。
この作為的などよーんが好きなので、ワタクシは心地よく読んだけどもね(笑)
ただ、静信とはウマが合わないだろうな、あたし。