|
評価:
THE BACK HORN
コメント:キラキラとドロドロの融合。
|
バックホーンのNEWアルバムを初めて聴くときにいつも思うことがある。
「今回は日本刀を持ってるかしら」
よくよく血を吸った刃が漆黒にぬるりと光るようなそんな根幹をたたえたバンドだと認識しているので、それが無いと少し淋しいのだ。
『太陽の中の生活』『THE BACK HORN』ではそれが絵筆になっていたが、今回は錫杖→手ぶら→刀だ。そして最後にまた手ぶらに戻る。
手ぶらというのはだらしなく落とした阿呆の手ぶらではなく誰かを抱きしめるために空けている両手だ。
錫杖ってのはまあ『雷電』のインパクトが強くて、そう思っただけだけど(笑)
日本刀一振り携えたというよりは、コロコロとその様相を変え、バックホーン史上最も捉えにくいアルバムだと思う。
が、それが繰り返してしまう所以。
で。
一発目の『雷電』で、こう来るかとにやついたのは言うまでもない。
呪詛のような祝詞のような、聴きながら耳なし芳一にされる気分である…って書いててわけがわからない、が、聴けばこの意味がわかると思う(笑)
もうこの曲が滅茶苦茶格好良い。
最初は血迷ったかと思ったが、繰り返し聴くにつれドラッグのように病み付きになる。
♪でれれーれでれれれーじゃきじゃき♪ってとこが、カッティング好きには鼻血もの(笑)
もう、このアルバムはこの曲で成功だと思う。
歌詞もメモリオーバークラスの詰め込み具合。呪いじゃ呪い〜。
続く『ラフレシア』は、バックホーン好きはすぐにピンとくるテイストだ。最初に聴いて、「これこれv」と落ち着く。
初めて聴いて、最初に好きになった曲、と言えばわかってくれるだろうか。
『再生』はゴリゴリなのに、そのゴリゴリ感をあまり感じないという、ごついマッチョな親父がイチゴのショートケーキ作ってるみたいなのだ。
これはLIVEで楽しいだろう…。ラスト付近の将司の激しい畳み掛け→メロディアスという食べ合わせがいい。
『羽衣』は…前奏から察するに、『上海狂想曲』的なハラハラがあるのに、急に清浄な空気感。ACIDMANかよ、と。
ごめん、これと次の『海岸線』は飛ばしちゃう。
そして、流れは戻って『ペルソナ』バックホーンの一撃必殺系(笑)
サビのマツ太鼓がいいよ!テンション上がるよ!
商業主義の地獄行き〜♪って口ずさんじゃう。
で、間髪入れずに『太陽の仕業』
サビに向かうにつれ肌馴染みが良い曲だけど、冒頭がTHE肉食。将司の顔が浮かぶ、ガルルルって言ってる顔が(笑)
和テイストの『汚れなき涙』、一見地味だけど徐々に開くイメージが壮大で、名曲なんじゃなかろうか。
将司の透明感あふれる声、真骨頂。
大ラス『パレード』は…ううん、一個前の『汚れなき涙』がすごくいいので、ワタクシ個人の気持ち的にはそこでこのアルバムは終わってる感じがするのだ。
確かに、メジャーコードが響いてるのはこの曲だけ(笑)とのことで、でっかく大 団 円!!って出る印象はあって、おさまりはいいのかもしれない。
不穏な暗さがなく、『雷電』と同じバンドが演ってるとは思えないくらいのヒーローが悪者倒した感。やりきった感。
いやはや、全曲レビューやるつもりはなかったのに、ほぼ全曲やっちまった(笑)
このアルバムが出来るまで結構長くかかったのがわかるなあ、と。
バックホーンにキラキラはいらねえんだよと言い続けてますが、今回は上手く融合してるんではないでしょか。
というか『雷電』がめちゃいいからそれでこのアルバムはクール!としちゃうのは暴論か…?
おつきあいありがとうございました。